2020/09/03 投稿

TV会議、チャット、メール等での安全衛生委員会

50人以上の労働者がいる事業場では安全衛生委員会や安全委員会、衛生委員会などを月に一度開くことが法律で定められています(業種により違います)。

危険な作業がある工場などでは安全衛生委員会、オフィスなどでは衛生委員会という形をとります。
この委員会は労働者の危険や健康障害を防止するための基本となる対策等を話し合い、会社に意見を述べるために作られています。

衛生委員会にしろ安全衛生委員会にしろ、ネックとなるのは全員の時間調整でした。
例えば産業医は安全衛生委員会や衛生委員会の委員でなくてはいけません。
委員が全員出席する義務はないのですが、多くの事業場では産業医が職場に来るタイミングに合わせて安全衛生委員会等を開いているところが多いと思います。
ところが例えば産業医が多忙だったり学会だったり等でうまくタイミングが合わないことがあります。
また委員会で重要な人物がちょうどその日出張で遠方に出ており、時間は空けられるけれども帰ってきての参加は無理という場合などもあり得ます。

これらの欠点を回避するべくテレビ電話会議システム等を用いた安全衛生委員会を開いているところも多いと思います。
しかしこれが本当に法的に有効かどうかははっきりしませんでした

令和2年8月27日厚生労働省労働基準発0827第1号で、これらの会議を情報通信機器等を用いて行うことが可能であるとする通達が出ましたので今日はこれを紹介します。

ポイントは

  1. 空間的に離れた2点以上を結んで行えること。
    TV電話やZOOM®だけでなく、会議の時に全員が資料を確認でき、委員同士の意見交換・調査審議が行われるならば電話やチャットなどによる開催も可能です。
  2. 時間的に離れた2か所で行えること。
    十分な審議が行われるならば委員間でのメールのやり取りで開催できます。

特にメールのやり取りだけでの委員会が認められたことは画期的で、十分な準備さえ整えていれば出席者のスケジュールのすり合わせを行う必要がなくなるということを意味します。

私は日本産業衛生学会内の遠隔産業衛生研究会という会の代表世話人を務めさせていただいており、ここでは「空間・時間的距離のある2点を結びつける機器(デバイス、ネットワーク)を活用した産業衛生活動」を遠隔産業衛生と定義しています。
この研究会の中においても安全衛生委員会はどの程度まで遠隔機器を用いて行えるかということは一つの問題でした。
厚生労働省がそこに一つの指針を出してくれたことで企業の負担はずいぶん減ったことと思われます。
もちろんこれで、十分有効な委員会が行えるかどうかは今後検討が必要です。

なお、この遠隔での安全衛生委員会の開催にあたってはいくつか満たすべき条件がありますので上記の通達を熟読して臨んでください。

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