2020/08/08 投稿

最初にどのような産業医を選ぶといいのか

従業員が50人以上となり産業医を選ばなければいけないという事業場は多いと思います。
今回はその時の選び方のコツのようなものをお話しできればと思っております。

ちなみに50人というのはアルバイト・パートなども含め労働者としていて働く人の総数です。
例え週に1回の契約であったとしてもこの中に入ることはお忘れなく。
ですからコンビニエンスストアなどであっても大きいところは産業医の選任義務があります。

 

最低限の法令順守だけをしてもらいたい場合

主に月に1回職場を見て回ったり、年に1回健康診断の労働基準監督署に出す書類にハンコを押すことだけの仕事をしてもらいたい場合です。

特に会社がやっと軌道に乗った頃などでは従業員の福利厚生や産業保健に十分なお金をかけられないところも多くこのタイプの産業医を探されることがあります。
この場合格安での産業医を紹介してくださる会社や、社長が昔からの知り合いである近所のクリニックに頼んだりすることが多いようです。

もちろん出費を抑えられるという意味での利点は大きいのですが、逆に言うと経験が浅かったり、基本的な産業業務をわかっていなかったり、あまり熱心にやってくださらない産業医が選ばれるという危険があります。
もし労働災害の危険が大きかったり労使対立の危険があるようでしたらあまりお勧めできません。

 

困った社員を何とか辞めさせたい場合

こういうケースは実際私が産業医をやっているとよく聞きます。
休職を繰り返していたり、復職可の診断書を主治医からもらってきたにもかかわらず、実際復職させると仕事のパフォーマンスがすこぶる悪かったり、さらには上司や周囲とのトラブルを起こすタイプの方はたまにいらっしゃいます。
会社によってはそういう方が何人もいらっしゃる場合もおあります。
特に小さい職場だとこういった方がいるだけで全体の士気もさがってどうにかしてほしいと言われることがあります。
で実際にそういう方に因果を含めて旨く辞めてもらうということに長けている産業医もいるということも耳にします。

私自身は産業保健の役割は「働く人と仕事のマッチング」にあると思っているので残念ながら一方的に会社の意見に耳を貸すことはありません。
人事や場合によっては社労士・顧問弁護士さんたちとも相談しながら一番良い落としどころを探っていきます。
よほどのことがない限り上手に就業内容を選べば十分な戦力になることが半分以上はあるというのが僕の感触ですし、やはり退職する場合でもほとんどがある程度納得したうえで退職となります。

 

ある程度標準的な産業保健を労働者に提供したい場合

会社がきちんと回るようになったのでここまで支えてくれた従業員やこれから入ってくるだろう新入社員に標準的な健康保健を提供したいと思っている場合。
あなたがここの社長さんであるならばきわめて素晴らしい社長さんだと思います。

選択肢は色々あります。
例えば労働衛生機関と言われる産業保健を健康診断等まで含めて手広くやっている組織や、わりと多くの事業場を対象に産業医を派遣している病院などに頼む手があります。

あるいは弊事務所のように独立してやてっている事務所に頼むのもいいでしょう。
大手の産業医紹介会社を通して産業医を選ぶ手段もあります。

いずれにせよ産業医はもともと医学教育を受けて育っているので、従業員の健康問題に必死に取りこんでくださる企業では産業医も可能な限り一生懸命取り組む傾向にあります。
欠点としては産業医個々の能力にばらつきがあることや産業保健活動が属人的になってしまうことですが、これはこのステージの企業様にとってはある程度やむを得ないのかなと思います。

 

会社が非常に大きくなってきた場合

従業員が1000人以上になると常勤の産業医を雇う義務ができてきます。
こうなると海外従業員を含め平等な産業保健を提供せねばならず産業医個人の力量に任せた産業保健の提供は無理です。
1000人程度だと、産業医・衛生管理者等を中心にPDCAサイクルを回しながら在職中の死亡やケガなどを防ぎつつ、病気との両立支援や外国人労働者の問題、副業者の健康管理の問題などに加え、人事労務問題等もシステマティックに対応する必要があります。

会社によっては産業医だけでも数十人というところもあります。
こういったところでは統括産業医と呼ばれる最も経験豊富な産業医をトップに据え、その下に各地域や事業場・工場の産業医を配置しながら全体として労働者の健康を守っていきます。

 

最後に僕自身のスタンスを述べます

クリニックなどを開業して患者を診る場合、1日数十人、月で数百人、たまにしか来ない患者までいれると数千人という患者を見ることになります。
しかしながら産業医の場合クライアント契約先の会社はせいぜい数十社にすぎません。
だったら、こちらにとっても、あるいは契約先にとっても最良の産業保健を提供できるところだけをクライアントにしたいと思っております。
もちろんそのためには産業保健の勉強会には足しげく通っておりますし、クライアントからの相談であれば24時間常に受け付けてなるべく早く返事をするようにしています。

またクライアントの情報も多ければ多いほどいいので、職場巡視に行くとそこにいる方々に声を掛けますし、株式の決算書にも、またgoogleニュースにも目を通しています。
会社を辞めた人がその会社の感想を書き込む転職サイトもありますのでそこもチェックしています。

全体的な産業医としての能力が僕よりも高い人はいっぱいいるでしょう。
しかしながら僕のクライアントに関しては僕より適切な産業保健を提供できる人はいません。
それが僕の矜持です。

 

ただクライアント先が増えてくるにつれ、だんだん自分が納得できるレベルでの仕事を提供することが難しくなってきました。
そこで弊社でもパートナーと組むことにしました。
今回組むことにしたパートナーは彼が産業医を始めたころ産業医の業務について僕のところに習いに来た方です。
その吸収力や問題点の見抜き方について当時から舌を巻いておりました。
僕の考え方もわかってくださっており、人柄腕前ともに信頼できる方です。

彼に僕とともに同じ事業所の産業医として登録していただき、手分けして定期的に巡回やクライアント先との人事との面談を行っていきます。
また彼との情報交換も最低月1回は欠かさないようにしております。質の高い産業保健の提供の仕方の一つとして今後大いに役に立つと考えています。

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