2018/11/11 投稿

職場の喫煙対策

職場の喫煙対策というのは大きな問題となっています。

タバコは肺がんをはじめとする各種癌の原因となるほか、心筋梗塞や脳卒中といった致命的、あるいはその後に大きな後遺症を残す疾患のリスクを数倍に増やすことが知られています。
こういったことは社員個人個人にとってぜひ避けたいことであるのはもちろん、働き盛りの社員にこういうことが生じると会社の経営上の問題にもなります。

また他人の吸ったタバコの煙にさらされることを受動喫煙といいますが、この受動喫煙も健康障害を引き起こすことは科学的に確立しています。
こういったことから産業医としては喫煙対策を、従業員の健康対策のなかで最も重要な3つのもののひとつと考えています。
ちなみに残り二つは肥満・運動不足の解消、仕事上のストレスの軽減です。

職場の対策としてはどうでしょう。
産業医としてはできるだけ禁煙してほしく、職場内も全面禁煙にして欲しいのです。
ただ職場によっては喫煙率も高くなかなかそういかないのも実情としてあります。
喫煙室や喫煙場所をしっかり作って分煙をするというのが対策の最低ラインです。
特に屋内の喫煙室を作る場合、喫煙室の外に煙が出てこないような工夫をする必要があります。
そのためには喫煙室の換気をよくすることや、エアカーテン等の工夫が必要になります。

どうしても喫煙室が作れない場合、据え置き型の喫煙スペースというのもあり導入している企業も多くあります。
2018年の報道によれば日本青年会議所が、受動喫煙被害により訴訟を起こされています。
受動喫煙により体調を悪くして休職、解雇に至った従業員と争いになり結局解雇撤回と和解金の支払いで和解しています。
このように喫煙対策をしないこと自体が企業にとってはリスクとなる時代となっているのです。

iQOS®などの加熱式たばこについてはどうかという意見もよく聞きます。
この問題に関しては医者の間でも温度差があります。
あるドクターは絶対やめるべき、やめさせるべきだといい、別のドクターは従来のタバコよりは問題が少なそうだと言います。

まず健康上のリスクについては、今のところ何とも言えないというのが実情です。
というのはタバコの健康被害というのは数十年経ってから出てくるものなので、データが全くそろっていないのです。
有害物質が煙の中に含まれてはいます。
ただそれは今までのタバコに比べると明らかに少ないのも確かです。
一方匂いに関しては、喫煙者のにおいが加熱式たばこに変えたことで気にならなくなったという方も多いのですが、逆にあの独特のにおいのほうが嫌だという方もいらっしゃいます。

このあたりの温度感というのは個々の会社の実情もあるので、産業医や衛生管理者に相談しながら徐々に進めていくのがいいと思っています。

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