熱中症対策とマスク
さていよいよ夏の暑さが本格的になってきました。
一方で今年は最初から新型コロナが流行しているためマスクをすることがマナーのようになってきています。
そこで今回は熱中症の話です。
空調の利いたオフィスで仕事をしているうちには熱中症はそれほど問題にはなりません。
しかしながら外回りの仕事や建築現場などでは熱中症の危険があるのでその対策は毎年重要になってきます。
まず一番意外なことを述べます。
労働現場においてマスクは熱中症の危険を増やすかどうかまだはっきりとしていないということです。令和2年度版の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」の実施要項をご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000642212.pdf
少し説明させてください。
熱中症のリスクは体調などを除けば基本的に次の4つの因子で決まります。
- 暑さ指数(WBGT)
- 衣服による補正
- 作業の強度
- 暑さに慣れているか(熱馴化)
もう少し詳しく説明します。
衣服補正というのは例えばつなぎ服のように熱を逃がしにくい服ではほかの条件が同じであっても熱中症のリスクをあげるということなどをさします。
マスクが熱中症のリスクになるかどうかはこの部分で判断されますがこの実施要綱には
「なお、防じんマスク及び市販の家庭用マスクについては、別表2による衣服補正の対象に含まれない。」
と明記してあります。
すなわち作業現場における熱中症予防に関してはマスクの影響は(現在の知見では)考える必要がないということです。
屋外の作業現場ではさほど問題になりませんが、休憩室や事務室等の密閉した環境での新型コロナウイルスの感染は結構報告があります。
マスクをどうするかについてはそれぞれの現場でよく考えましょう。
その他最近の話題を2,3あげます。
最近WBGT値はよく知られるようになりました。
高ければ高いほど熱中症になりやすいということですので、作業の強度を下げたり、休憩を多めにとったりすることが必要です。
最近では簡易的に測定する機械も結構あります。
ただここに一つ盲点があります。
これらの機械の中には黒球がついてない機械があるということです。
これがついてない機械で測定されたWBGT値は全く正確ではありません。
数センチ大の真っ黒な球ですのでついているかついていないかは一目でわかります。
必ずこのタイプの機械を使うようにしましょう。
また最近ウェアラブルで個人の体調をモニターできる機械や下着なども市販されるようになってきました。
私自身遠隔産業衛生研究会という研究会の世話人をしているのですがその中にあっても遠隔的に、リアルタイムで、本人の状態をモニターできる機会については非常に注目が集まっております。
その他さまざまな注意点等は上記の要綱を一読ください。
熱中症は今なお労働者の命を奪うこともある病気です。
実際それで訴訟が起きた例もあります。
どうか毎日の労働をご安全に行ってください。
産業医をお探しの方は
お気軽にお問い合わせ
ください。
今なら「介護と仕事の両立を支援するガイドブック」を無料でプレゼント!