2018/08/12 投稿

熱中症と夏血栓

2018年の夏は猛暑で熱中症が熱中症が世間を騒がせております。
熱中症は暑いところで身体のバランスが崩れて起きる様々な病態の総称です。

軽度のものであれば涼しいところにいて飲水可能であれば飲水するだけで改善しますが、重度の場合入院して全身的加療が必要となります。それでも死亡率は30%に達します。

熱中症の死者数は年間で約1000人に達し、そのうち労働災害となるのは50人程度です。
(ただし農家は労災保険に入っていないことが多く、それを含めると100人を超えるのではないかと思われます)
救急車で運ばれる程度の重傷者はこの10倍はあると考えられています。

人によりなりやすさには大きな違いがあります。
また同じ環境でも作業内容によりリスクは大きく変わります。体を激しく使う作業は体温が上がりやすくリスクが大きいのです。
また慣れの問題もあります。おおむね1週間程度で身体は暑い環境に慣れます。
ですので熱中症は真夏はもちろんまだ身体が慣れてない6月や、涼しくなったあとの9月に暑さがぶり返したときなどにも多く見られます。

症状としては軽度だと、めまい、あくびやこむら返りが中程度では頭痛、嘔吐、ぐったり感が出現します。
重症になると意識がなく、体にもはや汗をかいておらず燃えるように熱い、場合によってはけいれんを伴います。

軽症の場合涼しいところに移して水分塩分を取らせるだけで改善します。
中程度以上の場合病院搬送が必要です。

もし重度の熱中症(すなわち意識のない熱中症)に対しては救急車を待つ間全身冷却が必要です。
体中に水を浴びせ続けるなどがよくやられる方法です。
オフィスワーカーの場合空調設備の中で働いている分にはまず熱中症にはならないのですが、それでも営業の外回り等や通勤中では注意を要します。

熱中症予防で大事なのは、のどが渇く前に定期的な飲水の励行、深酒・睡眠不足などを避ける、単独行動を避ける、体調不良があるときは早めに申し出るなどです。

また最近「夏血栓」という言葉を耳にするようになりました。
脱水により体内に血の塊ができてそれが脳の血管に詰まれば脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、肺なら肺塞栓というわけです。
熱中症かと思ったらもっと怖い病気だったということでメディアに取り上げられています。

ただこの「夏血栓」、医学界では確立した言葉でなく、おそらく5年ほど前にメディアで使われるようになった造語だと思います。
心筋梗塞は冬に多い病気ですし、脳梗塞もどちらかといえば冬の病気です。
いずれも生活習慣病の一種ですので、脱水を防ぐための飲水のほか、禁煙、体重コントロール、適度な運動がその予防になると考えられます。

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