2021/10/02 投稿

新型コロナ第5波の収束にあたって企業のとるべき対策とは

新型コロナウイルス感染症第5波が急速に収束し、緊急事態宣言も9月30日をもって全国的に解除となります。
この凪の時期に企業としては次の対策を考えなければなりません。

1つは長引く在宅ワークで、メンタルヘルスが不調に陥りかけた従業員が結構いることです。
彼らの状態を上長は顔が見えるこの時期に把握、フォローを行う必要があります。
逆に在宅ワークに慣れてしまっているため通勤が苦痛になってしまい体調を崩す社員が出てくる可能性もあります。
彼らの在宅ワークをどの程度認めるか、どのような社内手続きをとって在宅ワークにするべきかをきちんと制度化することが望まれます。

在宅関係でいうと、体重の増加をきたしてしまった従業員も多くいると思います。
新型コロナウイルス感染症では、感染した時に年齢が高ければ高いほど重症化しました。
今回のデルタ株においては肥満も感染した時の重症化リスクを大きく上げるというのが現場で患者を診ていた医師が口々に言うことです。

肥満の基準はBMI(Body Mass Index)で測定します。
体重(kg)を身長(m)で2回わります。
例えば170㎝70㎏の方でしたら70÷1.7÷1.7=24.2 これがこの方のBMIになります。
このBMIが25を超えると重症化のリスクは高まり、30を超えると非常に高くなると現場の友人は言っていました。

いつかはわかりませんが次に来る第6波のために今のうちに体重のコントロールをしておくことがおすすめです。

 

次にワクチンの話をしましょう。
今回急速に感染が収束している原因の一つにワクチン接種者の割合が高くなってきたことが挙げられます。
例えば2021年9月8日~10日の間に生じた感染者の報告があります。
ワクチンを何回打ったかわかっている人だけで集計してみると、65歳以下では人口10万人当たり57人が新規に感染しています。
このうち2回接種が終わったにもかかわらず感染した人は4%にすぎません。
この時期30%以上の人は2回接種を終えていますから、ワクチン接種は感染を大幅に減らすことがわかります。

死亡者についても同様です。
9月24日に行われた東京都からの報告では8月1日~9月20日の間で、死亡者の約8割は1回もワクチンを打ったことがない人であるとされています。
ワクチンを2回打てば感染する危険も、重症化する危険も大幅に減ることがわかります。

今回の第5波はまだワクチンが十分にいきわたる前に日本を襲ってきました。
日本ではワクチン接種の順位が
①医療関係者
②65歳以上の高齢者
③以降にそれ以外の人々
であったため、まだワクチンを打ててなかった50歳代の死者が多かったのが一つの特徴です(実際男性では50歳代の死亡者は60歳代の死亡者よりも多かったのです)。
もしまだ打ってない方がいればぜひ打つことが勧められます。

ただワクチンも万能ではありません
例えば世界で最も早く人口の50%以上にワクチン接種が完了したイスラエルでは、一時ほぼ新型コロナ感染症を制圧した約半年後の8月ころから最大の流行をきたしています。
また同様に人口の8割と世界で最もワクチン接種率の高いシンガポールでも行動制限の緩和に従いデルタ株が大流行しています。
このためイスラエルでは3回目のワクチン接種を行い、実際効果があることが確かめられており、日本でも3回目の接種が年末から予定されています。

 

感染の仕方についても述べます。
今までは主に
①飛沫、
②接触が感染の主なルート
と思われてきました。
飛沫感染とはしゃべった時などに口から出る比較的大きな粒子で、すぐに地面に落ちてしまい2m以上のところには届かないと考えられています。
一方接触感染とはウイルスを触ってしまった手で自分の目や口などの粘膜を触るとそこから感染が生じるものです。
マスクや、距離を取ることは飛沫感染対策ですし、石鹸による手洗いやアルコール消毒は接触感染対策です。

しかし最近は接触感染はそれほど多くないのではないかという意見が主流になってきています(とはいっても手洗いやアルコール消毒は相変わらず必要ですが)。

新たに出てきたルートとして③マイクロ飛沫感染(エアロゾル感染)があります。
これは比較的密な空間で通常の飛沫よりもっと小さな飛沫が感染を引き起こすものです。
マイクロ飛沫は通常の飛沫に比べ遠くまで空気中を漂い、また長い時間漂うのが特徴です。
対策としては従来の飛沫感染に加え、換気!換気!換気!です。
積極的に換気を行うことによりマイクロ飛沫の濃度を下げること、これが非常に重要になります。
電車などでも窓開けが励行されています。
職場でも積極的に換気を行うべきです。

なおマスクについていうと、相変わらず鼻の穴を出したマスクの着用をしている方がいますし、また不織布マスクでないマスク、例えばウレタンマスクなどを使っておられる方も見られます。
飛沫やマイクロ飛沫の発生を防ぐために不織布マスクを正しく着用することを会社内では徹底させましょう。

 

最近、新型コロナウイルスを疑える発熱者を出社させたことで会社内でクラスタが発生、同僚が感染してその方の親も亡くなったことで訴訟が起こされました。
会社の訴訟対策という意味でも、感染を疑うような発熱・咳・頭痛などの症状がある者の出勤禁止や、マスク着用の徹底(更衣室などが見落としがちな場所です)、換気の徹底、可能であれば昼食も黙って取ることの奨励などは行っておくべきであろうと思われます。
特にデルタ株になってからは会社内での複数人への感染例は多く報告されていますので、感染が下火になったからといっても決して油断は禁物です。

また、多人数での飲酒を伴う長時間の懇親会などは避けるべきでしょう。

 

最後にインフルエンザワクチンの話をします。

昨年は皆が新型コロナ対策を徹底したおかげでインフルエンザ患者はほぼ0でした。
ただこれはインフルエンザに対する免疫を持っている人が少ないことを意味しているのかもしれず、今年大流行を起こす可能性がないわけではありません(もちろん去年と同じようにほぼ0である可能性もあります)。
予防法は新型コロナウイルス感染症と同じですが、ワクチンはどうでしょうか。
インフルエンザワクチンの効果はそれほど高いものでなく、打たないと例えば会社で10人が感染するところを、皆がワクチンを打てば感染者が5人に減る程度のものですが、症状の強さや他人への感染を考えるとこれも打っておくことがおすすめと考えています。

産業医をお探しの方は お気軽にお問い合わせ ください。
今なら「介護と仕事の両立を支援するガイドブック」を無料でプレゼント!