新型コロナウイルスについて産業医先に説明していること
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について産業医先から聞かれることが多くなりました。
2020年2月29日時点で私が産業医先に説明していることをまとめておきます。
1番に大事なのは、この疾患やウイルスの特徴は徐々にわかってきたとはいえまだまだ分からない点が多いということです。
つまり今正しいとされている対処法が、来週には間違っていたということになるかもしれないということです。
会社の方針を決める方は定期的に情報をチェックすることが必要です。
2番目にこういう時期には大事なのはデマが流れやすいということです。
きちんとした情報源を抑えておくべきです。
さて現時点で信頼できるのはまずは以下のサイトです。
厚生労働省のサイト:
これは情報が詰まりすぎているのですが重要です。
ご自身の健康が気になる方は真ん中あたりにある「新型コロナウイルスを防ぐには」を見ておきましょう。
あとは「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」は参考になると思います。
新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省
日本産業衛生学会ならびに日本渡航医学会の「個人と企業に求められる対策」
日本渡航医学会
週に1回程度アップデートされています。
この原稿を書いている時点では2月20日が第3版です。
特に人事や労務の方々は必見です。
さて今の段階で私が産業医先で説明していることを簡単に説明します。
<感染症の特徴:これも情報が集まるにつれ変わる可能性があります>
- ウイルスに感染してから症状するまでは2日から7日くらいのことが多い
- 初期の症状は風邪とあまり変わらない
- 5割くらいの人は感染しても症状なし(つまり風邪の症状すら出ない)
- 3割くらいの人は1週間くらい風邪の症状が続いて自然に治る
- 2割くらいの人で7日目から10日目あたりで突然肺炎が起きて入院が必要になる
- 肺炎の目安は息苦しさ(例えば階段が普通に登れなくなるなど)や食欲がほとんどなくなるなど
- ウイルスにかかっていることがわかっても特別な治療はない。入院しても命を守るために酸素を使ったりしながら体がウイルスを倒すのを待つだけです
- 風邪との最大の違いは、普通風邪は4日くらいで良くなるけど新型コロナは1週間くらいは症状が続くこと
<どうやって他人にうつるか:これも他のルートがありそうですが主に以下の二つです>
- 咳やしぶきが他人にかかることによってうつる。
大体1-2mくらいの距離まで - ドアノブなどにくっついているウイルスが自分の手についてそれが鼻などから入る
<自分を守るためにどうするか>
- 手を頻繁に洗う(医療者が手を洗うというときはアルコール消毒も意味することが多いです)。
流水と石鹸で洗うときは30秒、俗にハッピバースデイトゥーユーを2回歌い終わるくらい洗うように。
おすすめはアルコールによる消毒です - 顔に手をやらない。
手は洗った後何かに触れば汚染されている可能性があります。
特に化粧されている方は触らないのですが、していない男性などはよく触っているのを目にします。特にマスクをしたときはつい無意識に手が行くので注意です
<自分を守るために役立つかどうかわからないもの>
- 通常のマスク:品薄ですがあれはあまりウイルス予防には大して役立たないという意見が多数です。
他人にうつさない、唾を飛ばさないためには有効です。
特にこれから花粉症の季節でくしゃみをする人も増えますが必ずマスクをしましょう - うがい:これも疑問視されています
- 空間除菌:これも有効性を主張する医者は少数派です
<現在企業に勧められる最低限の対応>
- 風邪のような熱があったら会社に来ないように。症状がなくなって48時間経ったら来てもいい
- 会社にいる間に発熱があればマスクをつけさせて自宅に帰させること
- 会議などでは個人の距離を可能な限り取る
<BCP>
例えば非常に多くの従業員がこられなくなった時には、どの事業を優先してやるべきかは決めておくのはおすすめです。
<何故熱が出てもすぐ医者に行かないほうがいいのか>
理由はいくつかあります。
- おそらく現在日本で一番新型コロナウイルス感染者が集まるのは病院・クリニックです。
もし自分が普通の風邪だった場合そこでもらってくる危険があります。 - 一方新型コロナウイルスに弱い人が一番集まっている場所は病院・クリニックです。
例えば80歳以上の方が発症した場合死亡率は20%近いと考えられています。
他人にうつさないために自宅待機しましょう - 風邪にしろ新型コロナウイルスにしろ病院に行っても早く治す方法はありません。
医者で出す薬は売薬と同じく症状を抑えるためだけの薬です。 - とはいえこのあたりはかかりつけ医によって考え方は色々違いがあります。
かかりつけ医のスタンスは確認しておきましょう - いつもの風邪と明らかに違う症状の場合は、風邪でない他の病気の可能性もあります。
本人は風邪と思っていて放置していて全然違う病気だったということは医者なら相当経験しています。
そういう時は遠慮せず受診すべきだと個人的に思っています。
もちろん、まだまだ分からないことは山ほどありますし、業種や人数によりどの程度の処置をとるべきかは会社によって変わってきます。
産業医の本務は仕事に伴って会社員の健康が害されることを守るための手伝いです。
そのために私の周りの産業医はこの時期新型コロナウイルスの情報をほぼ毎日アップデートしています。
それこそいつでも是非相談してください。
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