2019/03/24 投稿

ブラック産業医とは

主にメンタル面で休職している方に対して、会社が復職してもらいたくない、首にしたいと思うケースがあったとします。

従業員が主治医に「復職可能」の診断書を貰ってきたときに、産業医に対して復職不可能の意見書を求め、産業医がそれに同調して根拠なく復職不可能の意見書をかく。

その結果、従業員が休職期間満了に伴い解雇や自然退職に追い込まれたりする場合に使われるジャーゴンです。

弁護士ドットコムニュースによると、2016年や17年にそのような対応をした産業医を「ブラック産業医」だとして損害賠償請求訴訟になった例や厚生労働省に申し入れがあった例などがあります。

さて、コラムを読んで頂いている皆様に知っていていただきたいのは、産業医と主治医の意見はそもそも次元が違うということです。

主治医は患者である従業員の病気が働くことに耐えられるかどうかを判断するのに対し、

産業医は今、その現場で要求されている水準の仕事を行えるか、行って本人の体調が悪くならないかを判断します。

この二つは当然異なるものでありほとんどのケースでは主治医が言う復職可能な状態では、十分なパフォーマンスを発揮することはできませんし、十分なパフォーマンスを発揮させようとすると再度状態が悪くなることも十分にあり得ます。

そこで、まっとうな産業医は主治医、本人、会社と連絡しながら一番いい落としどころを探ろうとします。

私自身、「彼は帰ってきてもらっては困るので復職不可と書いてください」と言われたことは何度かありますが、「会社の意見はわかりました。でもそこは本人と面談してから、場合により会社側を交えて面談させてもらって、私が私の判断で書きます、申し訳ない」みたいな話をしています。

産業医には中立性が求められます。

すなわち会社と従業員の両方から中立的に、医学的な専門性に従って判断します。
わからないときは主治医に主に手紙で相談します。
その結果やはり復職不可と書かざるを得ないこともあります。
こういった手続きには時間とコストがかかります。

しかし、手順を踏まずに復職不可と判断する産業医やそうさせようとする企業があるのも事実です。

そういう産業医は「ブラック産業医」と言われてしかるべきでしょう。

産業医をお探しの方は お気軽にお問い合わせ ください。
今なら「介護と仕事の両立を支援するガイドブック」を無料でプレゼント!