2018/08/19 投稿

突然の心停止・呼吸停止

職場等で急に人が倒れることがあります。

いろいろな原因がありますが、ここで知っておいてほしいのはそれが命にかかわるかどうかと、命にかかわる状態だった場合にどうするかです。

たぶん社会人生活でそういう場面に遭遇することはほとんどありません。
しかし万一出会ってしまった場合そこにいる方の対応がその方の生死にかかわります。
このコラムを読んでおられる方はおそらく人事部の方が多いと思います。
ぜひ社内でこういったことを周知徹底したり、あるいは数年に1回でもいいので講習を多くの人に受けさせることをお勧めします。

まず一番大事なことをお伝えします。倒れている人を見つけたら大きな声で叫んで人を呼ぶことです。

これも実は練習しなければできません。とにかく人を呼ぶ。

呼べば集まってきた方の中で一番経験のある人の指示に従う。これが鉄則です。
例えば病院内で人が倒れた時にでも医者看護師は一斉に集まりますが、自分が一番経験があると思う方がその場で名乗り出てその人の指示に従います。そのうちにもっと経験のある人が集まってきたらリーダーを交代します。

次に同じくらい大事なことをお伝えします。ある程度先で人が倒れていた場合、決してすぐに近づかないことです。

責任感の強い人ほどやりがちです。
というのもその場所自体が危険である可能性があるからです。
比較的多いものに感電や有毒ガスなどがあります。

どちらもオフィスでは稀ですが、こういう状況で駆け寄ると自分自身も二次遭難に合う可能性があります。駆け寄る前に落ち着いてまず1-2回深呼吸をしましょう。

そして本題です。先に比較的稀だけど対処法が他とは全然違う話をします。昼食とか食べている最中同僚が「ものも言わずに」急に立ち上がって、「自分でのどをおさえて」しばらくして倒れた。

これは間違いなく食事をのどに詰まらせた窒息です。
ものを言わないのは気管が食べものでふさがっている証拠、のどを抑えているのはそこに詰まったことが自分で分かって苦しんでいる証拠です。
窒息の対処法はいろいろありますが、ここではハイムリッヒ法または腹部突き上げ法をご紹介します。

相手を後ろから抱えあげ、相手のみぞおちに両こぶしを置いて思い切り手前につき上げる方法です。詳しく書かれた日本医師会のホームページをあげておきます。

http://www.med.or.jp/99/kido.html

最後に一番大きな問題になる話をします。目の前で急に倒れた人がいるとします。明らかに普通のオフィスで危険なものはないし、食事中でもない。まず近寄ってやるべきは声をかけることです。

かけて返事があれば心停止、あるいは心肺停止ではありません。
声をかけ続けましょう。

もし返事がなかったら呼吸してるかどうか見ます。

普通の呼吸をしていなかったら(呼吸をしているかどうか怪しければ)それは心臓が止まった状態として対応します。

では心臓が止まった状態で真っ先にやることはなんでしょう?
AEDと答えた方、50点です。
まずは心臓マッサージです。

心臓マッサージをしている間に誰かがAEDを持ってきてくれてAEDをつける、これが手順です。
心臓マッサージもAEDもおそらく練習していないとできません。消防署等でもトレーニングをやっておりますので是非全員が受けるといいと思います。
従業員数百人の会社では数年に一度こういうことがあってもおかしくありません。職場における一人の死は周りにきわめて大きな影響を結構な長期間及ぼします。そういった悲劇は完全には防ぎきれませんが一人でも多くの人が助かるよう、臨床医としても産業医としても祈っております。

最後ににチェックリストです
1. 人が倒れていた場合にまずやることは?
2. 腹部突き上げ法をしっていますか?
3. 心臓マッサージを練習したことがありますか?
4. AEDの場所を知っていますか?

全部がYESでない人は改善に努めましょう。
人事部の方は少なくとも7-8割の従業員がこれに全部YESと答えられるよう態勢を整えましょう。

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